The Grand National （グランド・ナショナル）− 英国の競馬

イギリスに長期滞在する方、または典型的な観光やお買い物、公園散策とは、少し違ったことをしたいなぁ、と思った方にお薦めの場所、それは、英国の競馬場です。

イギリスでは年間を通じて各地でレースが行われていますが、特にお薦のレースのひとつは、毎年４月にリバプールのエイントリー競馬場で行われる、世界的に有名な障害競走、グランド・ナショナル（The Grand National）。今年は４月４日（土）に行われます。

ウサギ狩りのイベントがきっかけとなり、１８３９年より始まった、グランド・ナショナル。今では、障害競走としては世界最高の賞金額、ダービーを上回るほどの視聴率や売り上げ、出場馬のエントリーも、毎年定員の約３倍以上、という人気。
何故にそこまで人気があるのか。それは、そのレースの長さ（約７．２キロ）、障害の難関さ（障害１６種類、全３０）、そしてそのために起こった、数々の歴史的アクシデント。レース中に馬が事故により死亡することが頻繁にあるため、動物愛護団体やIRAの標的ともなっています。

１５０センチほどのいくつものフェンス、水濠、急カーブや下り坂。毎年４０頭の馬が一気に走り始めますが、完走するのは１５頭ほど。何が起こるか全く予想がつかず、無名馬が優勝する歴史もあるため、競馬初心者や、普段当たらない人にも、当たり易いレースとも言われています。

例えば、フェンスのひとつの名前「フェイネイボン」。これは１９６７年、騎手を失った空馬がフェンスの前で突然走るのを止めたため、続いていた２０頭以上の馬が落馬、または立ち往生してしまいました。そこで、先頭からかなり離されていた１０１倍の配当だったフェイネイボンという名の馬が、先頭でゴール！その後、このフェンスにこの馬の名前が付けられたのです。

血統書もついていないイギリスの馬、レッドラム（Red Rum）は１９７３年、１９７４年、１９７７年の３度の優勝を果たし、伝統的な存在になりました。エイントリー競馬場にあるレッドラムの銅像にはいつでも花束が備えられているそうです。

↑ 伝説の馬、レッドラム

イギリスの競馬での見もの、それはレースだけではなく、観戦者の装いです。英国での競馬は、歴史的に位の高いスポーツとして認められていますので、特別な場所での観戦には、ドレスコードもあります。

特に毎年６月、イギリス王室がアスコット競馬場で開催するイベント、ロイヤル・アスコット（Royal Ascot）。このイベントのレイディース・デイ（Ladies’ Day）の華やかなファッションは、毎年話題になります。特に女性たちの帽子は、エレガントなものから、奇抜でユニークなものまで様々。

ほとんどの競馬場は、１６歳までの子供は無料ですし、子供が遊べる場所も用意してありますので、家族での外出（ピクニック）にもお薦めです。

ちなみに、くますけファミリーは、ロンドン郊外の有名な競馬場、エプソン・ダウンズ、ニューマーケット、アスコットへ行ったことがあります。どの日もお天気に恵まれ、大人も子供も競馬ピクニックを堪能しました。

スタンドからだと全体のコースを見渡すことができますが、お天気の良い日は、芝生にごろんと寝転び、子供を遊ばせながら、次はどれに賭けようかなぁ、儲かっちゃったらどうしようかなぁ、などど、パンフレットを見ながらぼんやり考え、賭けた後、目の前を走り抜ける馬に向かって、大声で応援するのが私のストレス解消方のひとつ。

スタンド内にも、芝生のエリアにも、ブックメーカー（政府公認の賭屋）のスタンドがいくつもあり、１ポンド(場所によっては２ポンド)から賭けることが出来ます。その掛け率はブックメーカーによって異なり、変動しますので、賭ける馬を決めたら、いくつかあるスタンドのお得な掛け率のところで購入するのがポイント。

刺すような寒さはなくなりましたが、まだまだ風は冷たいので、長時間の外出の際には、厚手のコートやジャケットを忘れないようにして下さいね。

グランド・ナショナルのオフィシャル・ウエブサイトはこちら
http://www.grandnational.org.uk/
http://www.grand-national-world.co.uk/

英国での競馬情報はこちらで。

The British Horseracing Authority（英国競馬統括機構）
http://www.britishhorseracing.com/

世界各地の競馬情報（日本語です）
http://www.jair.jrao.ne.jp/japan/courses/kaigai/kaigai_keiba.html

イギリスの競馬について（日本語です）
http://www.jair.jrao.ne.jp/japan/courses/kaigai/europe/england/top_eng.html

写真はwww.bbc.co.uk より